強引部長の独占ジェラシー
少し前までは部長の近くにいたことを感じさせないほど、今は遠い。
なんでよりに寄ってこんな人を好きになってしまったんだろう。
遠くにいることが当たり前の人なのに、少し近くにいただけでどんどん欲張りになっていく。
さっきだってきっと、ただ見回りに来ただけなのに、助けてくれたのかな?なんて思ってしまってる。
ああ、ダメだ。ほんとうに。
私はその場をそっと立ち上がると、頭を冷やすために外に出た。ひんやりした風がアルコールで少し熱を帯びた身体にちょうど良かった。
しばらくここで頭を冷やそう。
そう考えていると、後ろからカランカランというドアが開く音と共に聞き慣れた声がした。
「風邪引くぞ」
「部長!?どうしてここに?」
「俺も、少し風に当たろうと思ってな」
入り口の隅にある柱に寄りかかりながら部長はふぅ、とため息をつく。結構飲まされたのだろうか。気だるげな表情はこの間のバーの出来事を彷彿させた。
気恥ずかしくなり思わず目線を逸らすと、部長はそんなことも気にせず感心した声色で言う。
「しかし川島。お前はモテるんだな」
河原くんのことか……。
「……そんなんじゃ、ありません。部長の方こそ、早く戻らないと女性陣がガッカリしますよ」
「勘弁してくれ。もう十分付き合った」
うげ、という顔を見せる部長に思わずくすりと笑ってしまった。