例え結婚指輪が無いとしても。
「君は、事故前と同じ生活は送れない」


どう生きていけばいいんだろう


「1人では、不可能だろう」


「“1人”でなら、無理、なの?」


「そう。1人では不可能だ。

 なら、1人ではなく“2人”になれば

 それで解決だとは思わんか?」


にやり、と微笑むおじいさん先生の後ろに

明るい茶色の髪の人がいた。

キャラメル色かな。それとも、マロン色かな。


「キャラメル色、だよ。

どうも、新木 紘(Araki Ko)、高校2年。」


宜しくね、と言いながら私の頭を撫でる。

とても優しい撫で方で、なんだか、暖かい。


「中学3年、奏穂…」

私なりに頑張って微笑んだ。


紘さんは ふふっ、と笑い

「笑えるんじゃん」と撫でられた。
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