例え結婚指輪が無いとしても。
旅館行きの混合バスの中、

私はバスに揺れ、深い眠りの中にいた。


「いっ、いやですっ、!!」


真後ろから聞こえた声で、私は目を覚ました。


「やめて、…やめてくださいっ……!」


とても怯えた様な震えた声。

後ろを振り向いてみると、

そこには刃物を持った男性と、

怯える女性がいた。


「騒いでんじゃねェ…、!」


――――グサッ、……
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