守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
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「大丈夫……ですか?」


2階に上がった瞬間、力尽きたようにリビングで座り込んでしまった。
そんな私を心配そうに山瀨さんは覗き込んでいる。


「大丈夫……で……」

「すみません。大丈夫なわけ無いですよね」


最後まで言う前に遮られる言葉。
驚いていれば急に体を引き寄せられた。


「や、山瀨さ……」

「あの人が……前に話してくれた先輩ですよね……?」

「っ……」

「……やっぱりそうでしたか」


何も答えていないのに全てを見通されてしまう。
気が付かれている事は薄々感じていたけれど……。
いざ言葉に出されると胸が苦しくなる。


「……山瀨さんには隠し事できませんね。
あーあ……大将やチーフにも気を遣わせて……私は何をしてるんですかね……」


自嘲気味に笑えば抱きしめられる力が強くなっていく。
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