守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「……花蓮!!」


心許ない明かりが灯る公園に走ってくる拓海先輩。
余程急いできたのか息切れをしていた。


「拓海先輩……いきなり呼び出してしまってすみません」


ぺこり、と頭を下げれば拓海先輩はいきなり私の両肩を掴んでくる。


「そんなことはどうでもいい!
それよりびしょ濡れじゃないか……風邪でも引いたらどうするんだ!」

「……そういう拓海先輩だって濡れてますよ?」

「そ、それは……」


傘も差さず走って来た先輩。
こんなにも雨が降っているというのに。


「分かってます。急いできてくれたんですよね?」


クスクスと笑いながら言えば拓海先輩は小さくタメ息を吐いて私のおでこを軽くはたいた。


「分かっているなら聞くな。恥ずかしいだろう?」


少し紅くなった頬。
照れているせいか視線は混じり合うことは無いが居心地は悪くない。
寧ろ、心地良い気がする。
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