守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「すみません……立ち聞きするつもりじゃなくて……。
ただ……ミサキさんを探してて……」
どぎまぎと視線を彷徨わせる山瀨さんを見ると胸が苦しくなる。
彼が今何を思っているのか、どんな想いでここに居るのか……。
考えても全ては分からない。
「私を……?」
「はい……俺……やっぱり君を諦めたくなくて……。
でも……お邪魔だったみたいですね」
くしゃりと笑うけれど、無理に作った笑顔だって気付いてしまうのは知っているから。
山瀨さんの本当の笑顔を。
こんな苦しそうに笑う人では無いって事を。
でも何も言えない。
彼の視線の先には私の左薬指、指輪にあった。
誤魔化す事も否定することも出来ずにただ唇を結んで彼を見つめた。
「ミサキさん……俺……君に会えて良かった。
君を好きになれてよかった」
「山瀨さん!」
山瀨さんはそう言って笑うと走り去って言ってしまう。
追いかけようと足を動かすけれど、体が動かない。
「行くな」
「……拓海せんぱ……」
「行くなよ」
掴まれた右手によってその場で立ち尽くすことしか出来なかった。
ただ……ミサキさんを探してて……」
どぎまぎと視線を彷徨わせる山瀨さんを見ると胸が苦しくなる。
彼が今何を思っているのか、どんな想いでここに居るのか……。
考えても全ては分からない。
「私を……?」
「はい……俺……やっぱり君を諦めたくなくて……。
でも……お邪魔だったみたいですね」
くしゃりと笑うけれど、無理に作った笑顔だって気付いてしまうのは知っているから。
山瀨さんの本当の笑顔を。
こんな苦しそうに笑う人では無いって事を。
でも何も言えない。
彼の視線の先には私の左薬指、指輪にあった。
誤魔化す事も否定することも出来ずにただ唇を結んで彼を見つめた。
「ミサキさん……俺……君に会えて良かった。
君を好きになれてよかった」
「山瀨さん!」
山瀨さんはそう言って笑うと走り去って言ってしまう。
追いかけようと足を動かすけれど、体が動かない。
「行くな」
「……拓海せんぱ……」
「行くなよ」
掴まれた右手によってその場で立ち尽くすことしか出来なかった。