守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
***


拓海先輩と別れて自然に足が向いたのは、幸福寿司だった。

入るか入らないか迷っていれば独りでに扉が開いた。


「ウロウロしてるなら入れ」

「た、大将……」


大将はそれだけ言うと中に戻ってしまう。
数秒間立ち止まっていたが、決意したように中に足を踏み入れた。


「無断外泊して……ちょっとはマシな面になったかと思えば……更に悪化してるじゃねぇか」


呆れた様に苦笑いを浮かべながら仕込みをする大将。
それを見つめながら小さく笑った。


「すみません……」

「謝るならさっさと心決めろ。その顔だと……知っちまったんだろ? 真実を」

「……はい」


そう言えば、大将も知っていたんだ。
賭の罰ゲームのこと。
私がいない時に拓海先輩がその事を話しているのを外で聞いたことを思い出していれば大将は大きく息を吐いた。
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