守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「まあ、いい。アイツはお前の笑顔が見たいはずだ。
好きな女の笑顔は最高だからな」


大将はそう言って笑うと私の背中を押した。


「大将……?」

「前に進むためにもやらなければいけない事があるだろう?」

「前に進む……」

「ああ、お前も、水沢も」


やらなければいけない事。
それは分かっている。

自分の気持ちをぶつけてくれたチーフに向き合うこと。
それが今、私がやらなければいけない事だ。

そう思っていれば大きなタメ息が上から聞こえてきた。


「大将、何言ってるんですか」


いきなり聞こえてきた低い声は、聞き慣れたチーフの物だった。
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