守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「気付いてなかったのかよ? 相当分かりやすかったぞ、お前」

「……そう……だったんですね」


反応に困りながらも口角を引き上げれば先輩は小さくタメ息を漏らした。


「好き……ずっと好きだったよ」

「拓海せんぱ……」


突然と引き寄せられた体。
周囲の視線が突き刺さっているのは分かるが何も出来ずに固まってしまう。


「……最後に俺の願いを聞いて欲しい」

「……はい。私で出来ることがあるのなら……」


先輩はタメ息交じりに笑うと抱きしめる力を強くした。
かなりの力なはずなのに、痛くはない。
それは先輩の優しさだから。
< 282 / 297 >

この作品をシェア

pagetop