【短童話】星のつくりかた
「でもどうしようか、材料の言葉は星になってくれないぞ」

「他のレシピがあるのかしら…」

みんなが集まってうなりながら話し合っているのを、親子は黙ってみていました。


「おいみんな、とりあえずこの親子を休ませてやらんかね」

ぼくたちは町長の声に、静かにこちらを見ていた親子に注目しました。


母親の手をにぎる男の子は眠たそうに目をこすっています。



「ああ、それならうちで休めばいい」


「な、それでいいかい?」と男の子にほほえみかけたのはぼくのパパでした。



「うん、おじちゃんありがとう!」


ちょっとくぐもった眠たそうな声で男の子が言ったとたん、辺りが明るくなったような気がしました。




「光った……」



どうしてだろうか。


その男の子の「ありがとう」はぼくたちのそれとちがって、星をつくることができたのです。


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