【短童話】星のつくりかた
ヒミツのかくし味
帰る場所のない親子は、ぼくたちの町に住むことになりました。


あいかわらず、男の子の言葉は星をつくってくれました。


でも、ぼくたちだって同じように言っているのに……なぜぼくたちの言葉は世界を照らすことができないのでしょう。



「お兄ちゃん見て見てー」


「え、あ、どうしたの?」


ぼくがぼんやりと考えていると、男の子がぼくのほうにかけてきました。


手には、

「四葉のクローバーひろった!」


緑色に白いラインのもようがついたクローバーを持っていました。


もしかして、ひとりで外に出たのだろうか……

「ダメじゃないか!夜にひとりで出歩いちゃ危ないよ!」


ぼくがつい出した大声に、男の子は肩をびくりと震わせて、ひとみをうるませました。


「ごめんなさい……」


小さい涙声が聞こえてぼくは少しばつがわるく感じました。


ほとんどが夜のこの世界では、こどもが外に出るときかならず大人と一緒じゃないといけないのです。


でもぼくだって外に出て自由に遊びたいという気持ちが、いたいくらい分かります。


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