俺様社長の溺愛宣言
「…帰らない。私は、零士さんと一緒に居るの」

そう言いきって、ドアを閉めた。

ガツッ!!

ドアに、一馬の手が挟まった。

私は慌ててドアを開ける。一馬は手を押さえしゃがみこんだ。

「…大事な手なのに!何で手なんか出したの?!」
「…この手より、満里奈の方が大事だから」

「…」
「…満里奈、俺と一緒に帰ろう俺にはお前しかいない。いや、お前以外の女何て要らない」

「…お兄ちゃん…どうしよう、血が出てる。とにかく手当てしなきゃ」

中へ入れようと立たせるも、一馬は拒否して入ろうとしない。

「…お兄ちゃん、お願い手当てして」
「…この中には入らない。満里奈がここを出て手当てして」

…迷ってる暇はなさそうだ。一馬の手は、ドンドン腫れていく。血も流れて。

「…わかったわ。行きましょう」

私は一馬を連れて、大通りに出るなり、タクシーを掴まえた。

「…満里奈、どこに行く気だ?」
「…着けばわかるわ」

私は一馬の手にタオルを当て、それ以上口を開くことはなかった。

…私が向かった先は。
< 115 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop