俺様社長の溺愛宣言
…それから、終業の音楽が流れるまで、満里奈は奏ととても楽しく仕事が出来た。

先輩として、奏は本当にいい人たど思った。

「…お疲れ様でした、色々助けてくれてありがとうございました」

満里奈は素直に礼を言う。

「…お疲れ様。俺は、自分ができる事をしただけだよ。それに、渡辺さんだって、俺を助けてくれて助かった」

奏の言葉に、首を降る。


「…渡辺さん」
「…はい?」

「…仕事も終わったし、この後用がないなら飯でもいかない?」
「…え、いいんですか?…」

そこまで言ってハッとする。奏との仕事が楽しくて、零士に言われたことを忘れていた。

「…なんか用事ある?」
「…すみません。外せない用が」

満里奈の言葉に、奏はわかった、また今度と言うと、オフィスを出ていった。

その後、課長も、亜香里もそれぞれ仕事を済ませ帰っていった。

満里奈も帰りたい衝動に駈られたが、クビにされるわけにもいかず、かといってこの時間はまだ、零士は仕事中だろう。

社長室に行く勇気も出ず、デスクに突っ伏して困り果てていた。

「…帰ったのかと思った」

満里奈の背後からそんな声が聞こえ、ガバッと起き上がり振り返った。

「…御崎社長」
「…どうして、社長室に来なかった?」

「…まだ、仕事中かと思いまして」
「…ただの言い訳だな」

そう言ったかと思うと、零士の手が満里奈の顎を持ち上げ、抵抗する間もなく、唇に口付けた。
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