俺様社長の溺愛宣言
…次の日の朝。

鏡に写る自分の顔を覗き見る。

何時もと何も変わらない姿。…でも、今まででと何かが違う気がする。

「…?!」

私は首筋にある赤いアザに気がついて目を見開いた。

無我夢中にキスを受け入れていた為、首筋まで口付けられていたのに今気づいた。

…あの時、確かに微かにはしった痛み。

その痛みはこれのせい。

「…キスマーク…初めて見た」

話で聞いたり、漫画で見たりしたことはあったけど、まさか実際に自分も付けられるなんて思いもしてなかった。

そのキスマークに触れた途端、かぁっと、身体中が熱くなるのがわかった。

しゃがみこみ、火照った身体を落ち着かせる。

「…どうしちゃったの私、なんかの病気?」

目を瞑って深呼吸。

…!!!

何も考えないようにしたのに、浮かんできた零士の顔。

「…どうしよう。私そんなに御崎社長の事嫌いだったのかな」

…今日は金曜日。仕事に行かなければならない。

それなのに、こんな気持ちで会社なんて行きたくない。

けれど、無断欠勤や仮病なんて、社会人として行けないこと。

「…そうか、会わなければ大丈夫」

そうだ。会わなければ、いい。

庶務課なんだから、そうそう零士に会うことなんてないだろう。

私は頬を叩いて自分に気合いをいれた。

「…会社にいこう」

そう呟いて、身支度を始めた。
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