俺様社長の溺愛宣言
…仕事に向かった私は、珍しく早く出社していた亜香里に挨拶する。

「おはよう。今日は早いね」
「…渡辺さーん」

「…え？！あの！何？」

私の顔を見るなり泣きながら抱きついた亜香里をなんとか受け止める。

…始業時間まではまだある。

私はとりあえず、近くの資料室に亜香里を連れていった。

「…どうしたの？泣いてても分からないわ。私でよければ話し聞くよ？」

背中を優しく撫でながら、亜香里に話しかける。

亜香里はハンカチで涙を拭きながら、鼻をスズッとすすって話し始めた。

「…昨日、勇気を出して、好きな人にキスして告白したんです」

私にとっては衝撃的な告白に、目を見開き、さすっていた手が止まる。

「…そ、それで？」

「…そしたら、好きじゃないから、そんなキスは感じないって、キッパリ言われちゃったんです」

「…それはまた」

凄い告白なら、断り方もまた、凄い。私はどう言ってあげたらいいかわからなくて再び亜香里の背中を優しく撫でた。

「…それでも、好きなんです」
「…そっか」

「…諦められないんです」
「…うん」

「…その人が、渡辺さんを好きでも」
「…うん」

…うん？…今なんて言った？

また、手が止まった。

渡辺さんを好きでも？

何それ？その人って誰？どうしてこんな話しになるの？

私は驚きの眼差しで亜香里を見た。


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