俺様社長の溺愛宣言

満里奈side

「…恵~」

私の横で眠る恵に抱きついて、胸にすり寄る。

「…」

…恵。…恵?

昨日、恵はこのアパートには泊まっていない。

じゃあ、今抱きついてるこの人は誰?

重たい瞼をこじ開けて固まる。

…目の前には驚くほど綺麗な寝顔が。

私も抱き付いてるが、相手もしっかり私を片手で抱き締めて、もう片方の手は、私の枕になっている。

…御崎零士。その人だ。

泊まっていいと言ったのは自分だ。

とは言え、私は零士にベッドに寝るように言ったし、実際零士はベッドで寝たはずだ。

それなのに、何故今ここで寝てるのか?

男は苦手だし、嫌いだ。

大声をあげてやりたいと思ったのに、それはできなかった。

「…ここではよく眠れたから」

零士の言葉を思い出したからだ。

…こうして間近に零士の寝顔を見ると、本当に穏やかな寝顔だ。

ツンツンと頬をつついてみても起きないほど、熟睡している。

…今の時刻、朝5時。

零士は社長だ。定時に出勤しなくても大丈夫だろうと、起こさなかった。

…ふと、満里奈は思う。

そう言えば、こんなに傍にいるのに、緊張しないし、震えもでない。

相手が無防備だからなのか?

うん、確かに今、居心地がいい。

この腕の中は、落ち着く。

「…満里奈」


…寝言。
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