俺様社長の溺愛宣言

零士side

…朝、出社した俺の目に飛び込んできたのは、書類の束を持って歩く満里奈の姿。

男が苦手だと聞いていたが、同じ課のあの男とは仲良く話をしていることに、ちょっとばかりの嫉妬心が芽生えたが、仕事に私情は挟めないだろうと思うと、その嫉妬心も和らぐと言うもの。

満里奈の横を通りすぎようとした俺は、とある変化に気づき、思わず足を止めた。

満里奈と言えば、俺に頭を下げると、そそくさと通りすぎていく。

「…社長、いかがなさいましたか?」

秘書の声など耳に入らない。

それほどまでに、満里奈の一ヶ所を見つめていた。

…昨日、俺が満里奈の首にネックレスをかけたとき、耳も見えた。その時とは全く違うピアスが付いていたのだ。

しかも、高価なピアスなのは、俺の目で直ぐに分かった。

…満里奈は誕生日だった。プレゼントを貰っても不思議ではない。

…だが、あんな高価なピアスを友人から貰うことは考えにくかった。

「…男」
「…社長、急ぎませんと、会議に遅れます」

秘書に急かされ、ようやく我に返った俺は動き始めた。

「…これからの会議ですが…」

秘書の声はやはり遠くで聞こえるだけで、俺の頭は、満里奈の耳に付いたピアスの事で一杯だった。

…。

気になって、気になって、気になって…

昼休み。俺は我慢の限界が来て、満里奈をまた、社長室に呼び出そうと携帯を鳴らした。

「…もしもし、どうなさいました?」

満里奈の優しい声が聞こえてくる。

「…5分以内に社長室に来るように」

そう言って電話を切ろうとした。

「…無理です!仕事中ですので。失礼します」

…ツーツーツーツー。

無情にも、電話は切られてしまった。
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