俺様社長の溺愛宣言
「…やっぱり似合ってる」

そう言って微笑む一馬に、満里奈も笑みを浮かべた。

…久しぶりの兄妹団らんに、満里奈はすっかり飲み過ぎて、いつの間にか夢の中。

「…全く、飲み過ぎだ」

そう言いつつも、顔には優しい笑みを浮かべ、眠る満里奈を優しく撫で、そっと持ち上げると、ベッドに運んで布団をかけた。

満里奈の無防備な寝顔を見つめながら、一馬はしばらくそこに留まっていた。

「…ん、お兄ちゃ…」

そう言って、フッと笑みを浮かべるも、それは寝言。

一馬はクスッと笑って満里奈の髪を撫で上げる。

「…満里奈に悪い虫がついたみたいだな」
「…」

いつの間にか、満里奈は一馬の手を握っていた。

その手を優しく握りしめた一馬は。

「…そろそろ、本腰を入れようかな」

…一馬の放った意味深な言葉。

「…満里奈を幸せにするのはあの男じゃない」

…熟睡する満里奈の唇に、一馬はそっと口づけた。

だが、深い眠りの中にいる満里奈は気づかない。

一馬は、満里奈の兄なのに。

満里奈が絶大に信頼する大事な兄が、妹である満里奈にキスした意味は?

…次の日の朝。

目覚めた満里奈は一馬を探したが、一馬は夜のうちに、自宅に帰ったようだった。

「…お兄ちゃん…」

一馬が付けてくれたピアスにそっと触れる。

そして満里奈はまた、柔なかな笑みを浮かべた。
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