俺様社長の溺愛宣言
「…反対されてる理由は?」
「…」

言えない。

満里奈はだんまりを決め込む。

流石の零士もそれだけは聞かないとわからない。

「…俺は今、満里奈の正直な気持ちが知りたい。俺をどう思ってるのか。誰に反対されたって、満里奈の気持ちが俺にあるなら、どんなことも乗り越える覚悟はある」

真剣な眼差しで満里奈を見据えて言った零士。

『好きです』

たったこれだけの言葉なのに、重すぎて言えない。

満里奈は潤んだ瞳で何度も左右に首を降った。

「…言え満里奈」
「…」

「…俺には満里奈だけだ。今だって、仕事をほっポリだして満里奈の傍に駆けつけるくらい」

「…え?!」

…そうなのだ。零士は大事な会議の休憩中にどうしても満里奈の声が聞きたくなって電話をした。それが、あんなことを言われ、いてもたってもいられなくなって、急いで満里奈のアパートに来たのだ。

「…そんな社長!仕事中なら帰ってください!私の事なんてどうでも「よくないから、こうして来たんじゃないか」

こんなに満里奈を心底溺愛する零士に、これ以上嘘を突き通せるほど、満里奈は強くない。

「…御崎社長、私は」

ガチャッ。

…。

玄関のドアが開いた。鍵をしていなかった。一体誰が?

「…お兄ちゃん?!」

なんて、タイミングだろう。一馬が満里奈に会いに来た。

一馬は零士を睨んだ。

「…お前に満里奈はやらない。満里奈は俺のモノだ」
「…兄貴のあんたのものじゃない。満里奈は満里奈自身のモノだ」

お互い引く気はない。一馬がこの一言を放つまでは。




「…満里奈は、俺の花嫁になる」




零士は目を見開いた。
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