俺様社長の溺愛宣言
…終わった。と満里奈は思った。

「…兄妹なのに、結婚なんて出来ないだろ?」

零士の言葉に、一馬は笑う。

「…兄妹と言っても、血の繋がりはない。父親公認だ。よって、花嫁になることに問題はない」

「…満里奈はこの結婚認めてると?」

そう言った零士は満里奈を見た。

「…」

認めてるわけがない。一馬は、昔も今も、その先もずっと、『信頼する兄』でしかないのだから。

「…満里奈、どうなんだ?」
「…私は認めて「…認めてても認めてなくても、結婚はする。もう二度と、満里奈に会うことは許さない」

「…お兄ちゃん」
「…満里奈は黙ってろ。お引き取りを、御崎社長」

一馬の勢いに、零士は溜め息をついた。

「…俺は満里奈を諦めるつもりはない。今日のところは、とりあえず帰るから」

そう言って立ち上がった零士は満里奈の横を通りすぎる。

満里奈は俯いて何も言えないまま。

「…俺は、諦めがとにかく悪い」
「…ぇ」

…!!!

ここは、満里奈のアパートなのだが。

零士は満里奈の手を取ると、引っ張り寄せた。

「…満里奈!」

一馬が満里奈の名前を呼ぶ。

「…俺は、満里奈をあんたに渡す気はない」

そう言い残し、零士は満里奈を部屋から連れ出した。

…呆気に取られた一馬はその場に取り残された。

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