俺様社長の溺愛宣言

零士side

…社長室。

デスクに座る俺の手には、2枚の写真。

満里奈とキスをする写真。これには勿論見覚えがあった。誰かに見られたことに後悔はないし、付き合って、いずれは結婚したいと思っていた。

が、もう一枚の写真は、身に覚えのない写真だった。

「…社長」

秘書に呼ばれ、そちらに目線を向ける。

「…何者かの策略にはまったのかもしれません」
「…」

秘書の言葉に、溜め息をつく。

自分の地位が、いつも誰かに狙われていることなど承知の上だ。

だがしかし、今回はいただけない。満里奈の事が何より心配だった。

何度も電話したのに、それに出ることはない。メールしても、返信もない。

きっと、満里奈もこれを見ただろう。ショックだったに違いない。

直接会って、話がしたかった。

…午後9時を少し回った頃。

俺は、満里奈のアパートに向かった。

インターホンを鳴らす。

…が、誰も出てこない。

外から見たときは、確かに電気は点いていた。

電気を点けたまま、寝てしまったのか?

それとも、居留守をつかっているのか?

もう一度だけ、インターホンを鳴らしてみた。それでもでなかったら、帰ろうと決めて。

「…はい」
「…貴方は満里奈の」

…満里奈ではなく、出てきたのは兄である一馬だった。

「…満里奈は」
「…体調を崩して眠ったところです」

体調を崩して?まさか、あの写真のせいなのか?

「…どんな具合なんですか?」

俺の問いに、答えを渋る一馬。俺は、もう一度同じ問を投げ掛けた。

一馬は溜め息をつき、こう言った。

「…満里奈はしばらく会社は休みます。それほど体調が悪いんです。御崎社長、満里奈を想うなら、満里奈為に、身を引いてください。では」
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