俺様社長の溺愛宣言
「…モテ期だね~」
「…モテ期…そんなもの要らない」

私の言葉に、恵は笑う。

「…25年も男っ毛のなかった満里奈だよ?いい機会なんだから、どっちかと付き合ってみたら?」

「…そんな、簡単な」

困惑気味に答えると、恵は真顔でこう返した。

「…簡単だよ、恋愛なんて。好きか嫌い。好きなら付き合う。嫌いなら付き合わない。恋愛なんて、自分の気持ち一つでどうにでもなるもんよ」

「…恵は、明くんがいるからいいけど、私なんて…」

明くんは、恵の婚約者。同じ会社の1つ上の先輩。親友恵の大事な人だと思えば、明くんに接するのに恐怖も不安もなかった。

お兄ちゃんみたいな存在だ。実際、明くんは私を妹のように扱ってくれている。

「…満里奈も、好きな人出来ればいいんだけど。でもまずは、男恐怖症を、克服しないとね」

「…恋愛って、そんなに大事かな?」

そう言って溜め息をついた。

「…大事かな?どうだろう?でも、恋愛してると幸せだよ」

「…毎日?」

「…毎日は、無理かな、喧嘩だってするしね。でも、それは、友達でも一緒でしょ?あ、でも彼氏だと浮気の心配がって」

そこまで言った恵は、あちゃーっと、頭に手を当てた。

それは、私が顔を歪ませたから。

「…無意味に疲れるなら、彼氏とか要らない」
「…もう、困った子」

「…あ、そういえば、御崎社長といえば、物凄い鬼社長何でしょ?」

鬼社長?…そんなの初耳だ。

「…何それ?違う会社なのに、よくそんなこと知ってるね?」

「…え?意外に有名だよ。雑誌にもよく出てるし。会社大きいしね。噂なんていくらでもあるよ。部下にたいして、鬼のように冷たいって噂。怒らせたら最悪らしいよ」


…部下にたいして鬼のように冷たいって?

…怒らせたら、最悪らしいよ?

…私、そんな人、最低呼ばわりした上に、頬を叩いたけど。


思い出しただけで、顔面蒼白になった。

「…会社クビかも」
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