俺様社長の溺愛宣言
私は、自宅には向かわず、とある場所に向かった。

インターホンを鳴らすと間もなく、1人の女性が顔を出した。

「お疲れ様~。…どうしたの?その顔」
「…恵~!!」
「…え、ちょ」

私は迷わず恵の胸に飛び込んだ。

相内恵(あいうちめぐみ)25歳。小学校から、ずっと今に至るまで、同じ道を歩いてきた幼なじみで親友。

会社は別々になったけど、今もなお、友達関係は続いている。

「…落ち着いた?」
「…うん、ごめんね」

ひとしきり泣いたあと、恵に促されるまま、お風呂に入り、こたつの中に入った。

「…なんか食べた?」
「…ううん、仕事帰りに直接来たから」

「…じゃあ、用意するから食べな」
「…欲しくない」

私の言葉に溜め息をついたが、直ぐに私のおでこを人差し指で押した恵。

「…そんなときこそ食べるの!」

そう言うと、台所へ向かった恵は、お盆にご飯とおかずをのせ持ってきてくれた。

「…ありがとう」
「…いいから、早く食べな」

恵に言われるまま、ご飯を食べた。

その間、恵は何を言うでもなく、テレビを見ている。

恵なりの優しさだ。無理に聞き出そうとしない。

「…ごちそうさまでした」
「…お粗末様。よく食べました」

私の頭をヨシヨシすると、食器を片付け、再び私の横に座った。

「…で、何があったの?」

お茶を飲みながら、優しい声で問いかけられ、私は今日の事を全て話した。
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