俺様社長の溺愛宣言
7.俺様社長の愛は深く
…次の日から、毎晩零士は満里奈の見舞いに来た。

仕事が終わってから、面会時間がたった1分しかなくても。

「…御崎社長」
「…あれ以来」

…あれ以来?

「…俺の名前を一度も呼んでくれなくなったな」

そう言って、零士は少し悲しそうに微笑んだ。

「…御崎社長は、御崎社長ですから」

本当は、零士さんと、呼びたい。が、呼べずにいた。

「…体調はどうだ?いつ頃退院できそうだ?」
「…それが、今はまだ未定で」

そう言って言葉を濁した満里奈。

「…満里奈、ずっと聞きそびれていたが、そろそろ本当の病状を話してくれないか?やっぱり、心配だし、力になりたい」

満里奈の手を取り、そう呟く零士に、満里奈微笑む。


「…大した病気じゃないんですよ。生まれつきと言っても」

満里奈は笑顔で嘘をつく。そうしなければ、やり過ごせそうになかったから。

「…でも、会社を辞めるって」
「…辞めません。でも、これだけ入院してたら、クビですよね」

「…そんな事させない」
「…流石、御崎社長ですね」

「…満里奈、話を反らすな。俺は満里奈の全てを知りたい」

…今回は引き下がってはくれそうにない。満里奈はどうしたものかと困り果てる。

「…御崎社長」

零士の名を呼んだ時だった。

突然の発作に見舞われる。満里奈は胸を押さえうずくまる。

「…満里奈!」

零士は満里奈を、支えながら、ナースコールを何度も押した。
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