俺様社長の溺愛宣言
「処置をしますので、貴方は廊下でお待ち下さい」

駆けつけた看護師に廊下に追いやられた零士は手を握りしめ処置を待つ。

その間、小林先生と一馬が病室に駆けつけた。

零士とチラッと目を合わせた一馬は、冷たい目をしていた。

…5分…10分…30分。

中を覗いた零士はショックと安堵感の両方が押し寄せた。

…一命を取りとめた満里奈だったが、沢山の機械や点滴に繋がれ、目を閉じている。

ゆっくりと中に入ってきた零士に、突然一馬がネクタイを掴み、壁に押し付けた。

「…満里奈に近づくな!お前がいるから満里奈は!」
「落ち着け、一馬!」

それを止めようと、小林先生が一馬の手を取った。

「…一馬、全てを話そう。彼に納得してもらうしかないだろ?」

小林先生の言葉に、一馬は手を下ろした。

「…御崎さん、満里奈ちゃんは心臓の病気です」

零士は目を見開く。

「…満里奈ちゃんには、もうあまり時間がない」
「…どういう意味ですか?」

震える手を、零士は握りしめた。

「…心臓が悲鳴をあげてるんです。満里奈ちゃんの心臓が止まってしまう前に、オペをしなければ、余命はいくばくもない」

「…そんな」

「…オペをするには、アメリカに行かなければ行けません」

「…」

「…でも、満里奈ちゃんは、オペは受けないといってるんです。何故だか分かりますか?」

零士に、分かるわけがなかった。

「…満里奈ちゃんは、御崎さん、貴方の傍にいたいと。綺麗な、傷ひとつないその体で…例え、明日、命を失ったとしても」


…一馬が、手で顔を覆っていた。

その顔は見えないけれど、泣いてるのはわかった…苦しんでる…
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