俺様社長の溺愛宣言
「…もう、離してください‼」

引きずられるように進む私。

突然止まった零士は、私を怒ったような眼差しで見下ろす。私は零士から目をそらした。

「…ひゃっ」

そんな私を、沢山の人がいるにも関わらず抱き上げてしまった。

そして、目的の飛行機の搭乗口まできてしまった。

私たちの異様な光景に、受付の女性が驚いている。

「…あの、お連れ様はご気分が悪いのでしょうか?」
「いえ、さっき、つまづいて足をくじいてしまいまして」

零士の言葉に、納得したようで、チケットを受け取った受付は、機械に通し、零士に返した。

「湿布かなにか、ご用意したしましょうか?」
「…いいえ、持っていますので大丈夫です」

嘘八百並べる零士の顔は、至って冷静だ。

私はただただ恥ずかしいのを隠すように俯くしかない。

「…ビジネスクラス」
「…エコノミーは満里奈の体に負担が大きいから」

「…りょ、旅費は」
「…俺を誰だと思ってる?」
「…」

…間もなくして、飛行機はアメリカに向かって離陸した。

「…御崎社長」
「…ん?」

「…どうして手術のこと知ってるんですか?」
「…小林先生から聞いた」

「…私が受けないって拒否してることは」
「…知ってる。だからこうして強行手段に出た。満里奈」

…ドキッ。

零士は私の顔を見つめ、右手を握りしめた。

「…俺のために死ぬなんて許さない。俺のためを思うなら、手術を受けて生きろ」


「…成功率が10%なくても?」

私の言葉に、零士の手がビクッとした。
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