俺様社長の溺愛宣言
「…手術費用だって。アメリカは保険が利かないから莫大で…迷惑かけるし」

うちに秘めた思いを口に出せば、涙も共に溢れてくる。

そんな私の涙を、零士は優しく指の腹で拭う。

「…満里奈が心配するのは、自分の命だけだ。他に何も心配しなくて良い」

「…でも」

「…手術が無事に終わって、目が覚めるとき、必ず俺がそばで手を握っててやるから。…大丈夫だ。必ず成功する」

そんな優しい顔して微笑まれたら、いやって言えなくなる。

零士が傍にいてくれたら、本当に大丈夫だって、思えてくる。

「…満里奈、今は何も考えるな。向こうに着くまで大分時間がかかるから、ゆっくり休め、いいな?」

「…はぃ」

CAに持ってきてもらったタオルケットを私の膝にかける。

「…ほら、目を閉じて」
「…そんなにすぐ眠れませんよ」

そう言って困ったように笑えば、零士も少し笑った。

でも、零士は私をつかむ手をずっと離すことはなかった。


…。この手はずっと離れることはない。

大きくて温かくて、少しゴツくて、でも、スラッと伸びた指が綺麗で。

私は、この手がだいすきだ。
< 90 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop