First Love〜ベランダ越しの恋〜
教室に入ると、優人は私の机に座っていた。
「…ちょっと。ここ私の席なんですけど?」
「知ってる。なにそれ?」
「あ、パン?これね、」
「さっき彼氏からもらってたんだよ〜!優人くん付き合ってるの知ってた?」
「あ〜、うん。」
「朝からパンもらうとか、ラブラブじゃん!もしかして、羽美あの人の事好きだったとか?」
「え…」
私は返事に困った。ここで、そうだよって答えたら自分の中で踏ん切りつくかな?優人を好きって気持ちが少しはなくなるかな?
答えたいけど、言葉が出ない。
好きな人の前で、違う人が好きだったんて……今の私には言えない。
「あ、羽美!そんなに握ったらパン潰れちゃうよ!」
「あ…ごめんごめん!お腹空いたから、食べようかな。」
私は自分の煮え切らない気持ちにイライラしながら、龍二くんからもらったパンを食べた。
ジャムは甘いはずなのに、なぜか少し苦くも感じた。