悠久のシャングリラ

静寂に巣食う不安



今日も今日とて、
それぞれに分かれて行動していた。

今回一緒になったのは、桜、鳳仙の二人。

場所も桔梗と入れ替わり、
今回は私が一階を担当していた。


「ふぅ。 だいぶ見て回ったね」


一旦立ち止まり、
暗がりのあたりを見渡す。


「はい。 けれど、
化け物には出会えませんでしたね……」


そう。

今日は欠片どころか、
化け物と一匹も出会えていない。

忽然と姿を消してしまったかのように、
館の中は静まり返っていた。


「おかしい……。
前はあんなにいたのに」


緊張が解けたのか、
取り出していた武器をしまう。

落胆にも似た何かが、
私たちの間には漂っていた。

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