悠久のシャングリラ

館から出られる条件



そうして、また白い部屋に戻ってきた。


「さあ、説明してもらおうかしら。
ここがどこで、貴女たちは
何を知っているのかを」


開口一番にそう突きつけた桔梗は、
部屋の中央に置かれているソファーに
ドカリと座り込んだ。

それに習うようにして、
私や藤、桜もソファーに座る。


「君が知りたいのは、
ここがどこかだよね?」

「ええ、そうよ。 ここはどこで、
あたしたちはどうしてここにいるのか。
……それが知りたいのよ」


桔梗の質問は、
そっくり私の疑問でもあった。

いきなり目覚めた、見知らぬ館。

ここに来るまでの記憶もなく。

どうして倒れていたのかも忘れている。

それを知りたいと思うのは、
当然の心理と言えるのだろう。


「俺たちも他人から
聞いたことなんだが……」


話に出てきたのは、
二人の小さな子どものことだったーー。

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