悠久のシャングリラ

様々な異変



部屋の外に出て、
私たちはすぐに異変に気がついた。


「……この地響きに似た声って……」

「ああ。
化け物が、ちゃんといるようだな」


いなくなっていたはずの化け物が、
またこの館に蔓延っていたこと。


「んあ? コイツは……?」

「……青い光がたくさんあるわね。
飛んで……いるのかしら?」

「これ、蛍じゃない?」


青白い光を放つ小さな蛍が、
闇に浮かび上がっていたこと。


「お、おい! こっち見てみろよ!
あの不気味な面がなくなってるぞ!」

「本当だ。
数え切れないほど、壁にかけてあったのに」


薄暗い館の廊下の壁を埋め尽くしていた、
あの不気味なお面がなくなっていたこと。

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