悠久のシャングリラ


死ぬのが怖くて、死にたくなくて、
でもどうしようもなくて……。

いつからか涙も枯れていって、
全てを諦めながら屍のように生きていた。


けれどそれ故に、強く【桜】に憧れた。



まるで未来に進む門出のようにーー。



人生でまだ数回しか迎えていない、
春に咲く桜が目に焼き付いて離れない。

自分はこんなに未練たらしかったのかと、
あの時は嘲笑にも似た思いだった。


けれどある時、一人の少女と出会った。


自分の顔が隠れるほど大きな花束を持った
僕と同じくらいの年の少女。

いろいろあって仲良くなったその子と、
僕は外の話をたくさんしてもらった。

知らないことがまだまだ溢れている
と知って外の世界に今までになかった興味が湧くようになっていった。

< 157 / 306 >

この作品をシェア

pagetop