悠久のシャングリラ

美しく透明な一筋の涙



そのとき、
部屋の中に呑気な声が聞こえてきた。


「あれ? もうこんなに集まったんだ。
オレたち探しに行った意味なかったなぁ」

「………」


開けられたドアから顔を覗かせたのは、
知らない二人の男の子だった。


「おお! 鈴蘭と睡蓮!
ようやく帰ってきたんだな」


赤に金色のバラの刺繍が施された
服を着ている人が、私たちに近づいてくる。


「へぇ……ふたりとも女じゃん。
しかも、結構カワイイ顔してるし」


自然な動作で、
私の右手を柔らかく包み込むとーー。


「……オレ好み」


そのまま引き寄せられ、
左の頬に口付けを落とされた。

しかも、唇に一番近い場所に……。


「!?」

「おっと。 させないぜ」


逃げようとした体を、
彼の腕が離してくれない。

顔から火が吹き出しそうなくらい
恥ずかしくて、彼から目を逸らした。

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