悠久のシャングリラ

ふたりの赤と青



暗く長い廊下をひたすら進むと、
大きな階段が顔を覗かせた。

この玄関ホールは、
私たちが倒れていた場所からも近い。

それに何より、藤と桜が、
あの二人の子供に出会った場所だ。


「二階だったよな?」

「…………うん」


赤い絨毯が真ん中に敷かれ、
見上げると、上にはステンドグラスがある。

何かの絵なのか、
歯車やネジ、時計の針や数字など。

芸術性とは程遠いものの、
その迫力が圧倒的に目を引いた。


「百合、何してるの?
さっさと行って、さっさと帰るわよ」

「あ、待ってください!」


気づけばみんな先を行ってしまっている。

慌てて階段を登り、駆け上がった。

その途中、
地響きのような呻き声が響き渡りーー。


「きゃっ! な、なんなの!?」


耳を澄ませば、
誰かの声がこの場所まで聞こえた。


「今のは……あっちからか!」

「行くよ!」


一斉に走り出す。

……この先に誰かいるのは間違いない。

そしてこの館で戦うとしたら、きっとーー。

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