悠久のシャングリラ

物語を綴る者



しばらくすると光が薄れ、
何も無い真っ白な天井へと戻ってしまった。


「あれが、扉……。
俺たちが帰るための………?」

「ステンドグラスを集めたら、
最終的にあの扉ができるってことだよな?」


浮かれた雰囲気が抜けきれない空気を、
誰よりも先に破ったのが鳳仙だった。


「それで? あんたは何者?」

「わたしはーーークイナ。
物語を綴ることを生きがいにしている者」

「……物語を……綴る……」

「小説家みたいな感じか?」

「そう捉えてもらって構わないよ」


お面につけられている鈴が揺れる。

リンリンと、心地よい音が響いた。


「僕から一つ質問をしてもいい?」

「いいよ」

「クイナはさっき、
僕たちよりもこの館に詳しい。
そう言っていたよね?」


みんながハッと息を呑む。


「なら、僕たちが知らないこと
教えてくれない?」


クイナは動かず、口を開かない。

それを静かに見守っていると、
彼が顔を上げた。

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