【完】好きだという言葉の果てに



弾かれるような軽快なピアノの音。


それだけが、今、心の救いのように感じた。



止みそうもない雨。
今日は、鳥達も公園へは訪れない。
雨風の中で揺れるブランコに、何故か自分の姿を探してた。



そこで、ふと一人呟くようにして、佳人くんが口を開いた。


「先輩は、覚えてますか?俺達が初めて出逢った時も、こんな雨の日だったんですよ…?」


「そう、だったっけ?…うーん…佳人くんて晴れ男なイメージ強いから、ごめん、あんまり覚えてないや…」


また、彼を傷付けてしまうかと思って伏せ目がちに苦笑いすると、そっと手が近付いて、そのまま頭にぽんぽんと手を添えられた。


< 36 / 235 >

この作品をシェア

pagetop