千日紅の咲く庭で
ちょっとだけ睨み返した私に気付いたのか、岳はまた我が物顔でキッチンに移動したかと思うと、キッチンからふんわりと優しい香りを漂わせながら、カモミールティーを運んできた。


「こんなの、どこにあったの?」

「あそこの棚。おばさんが買ってたやつじゃねぇの?」

どうしてこの家に住んでるお前が知らないんだとでも言いたげに岳は私を睨んだ。


ホットミルクといい、目の前のカモミールティーといい、岳は安眠効果のあるものばかり勧めてくる。


そういえば岳って昔からこういう奴だったな。


口は悪いくせに、そっけなく優しいことしてくれる。
そんなやつ。


だから、憎めないし、嫌いになんてなれないんだ。

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