千日紅の咲く庭で
「ちょっとだけ、横になろうかな」

これ以上、岳に心配かけたらいけないと眠くなんてなかったのだけれど、私はカモミールティーを飲み干すとリビングのソファーに身体を横たえた。


「眠らなくてもいいから、目だけは瞑っておけ」

「うん」

岳の言葉に大人しく従うように返事をして、瞳を閉じると安心したような小さなため息が岳の方から聞こえてきた。


頭は冴えわたっていたのに、やっぱり体は疲れていたようで、私はいつの間にか眠ってしまっていて、次に意識を取り戻した時にはリビングの電気は消されていて、ブランケットが掛けられていた。


岳はというと疲れ切った顔して1人がけのソファーで座ったまま眠っていた。

私はそんな岳に、私に掛けてあったブランケットを掛けた。


「ありがとね。岳」

私の聞こえてなんていないはずの呟きに、眠っているはずの岳が小さく笑ったような気がした。

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