千日紅の咲く庭で
お母さんの実家までは、特急で2時間弱。


しかも律儀に特急の停まる駅の近くに我が家があるのは、きっと、ちょっとしたおじいちゃんの親心なのだろうと今になってみれば思えないこともない。


それに今は新幹線まで通っているから、あっという間にお母さんの実家には帰れる距離になったけれど、それでもお母さんの実家に遊びに行った記憶は皆無に等しい。


だから私に、おじいちゃんの記憶も、お母さんの実家の思い出もない。
おじいちゃんの顔さえ記憶は曖昧だ。


小さい頃、お母さんと一緒にどこかに遊びに行ったとか、旅行に行った記憶もないのだけれど。


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