千日紅の咲く庭で
私には産まれた時から父親が居なくて、家族はお母さんと私の2人だけで、この土地で生きてきた。


私が20歳を過ぎた頃にお母さんに聞かされたのは、お父さんの女遊びが原因でお母さんが妊娠中に離婚したこと。


小さな海辺の村に実家があったお母さんは世間体もあり、私のおじいちゃんにあたる人が、県外にあるこの土地に家だけは買ってくれたらしい。



家は小さいし、築年数がかなり経っていてぼろぼろ。

それでも2人で暮らすには十分な広さだった。


私が就職すると、少しだけ仕事をセーブしたお母さんは、大好きなガーデニングをして、ドライフラワーなんて作っちゃったりして、小さな庭はいつも花で溢れかえっていた。


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