千日紅の咲く庭で
「花梨ちゃん、先週倒れたって聞いて驚いたわよ。栄養のあるものたくさん食べなさい」

鶏レバーのしぐれ煮やあさりの味噌汁やひじきご飯と貧血に効くと言われている和食が品よく食卓に並べられている。


料理上手な美知おばさんが腕をふるってくれたものは、彩りだけじゃなくて、その盛りつけ方まで実に美しく、食欲のない私が少しだけ空腹を感じてしまう程だった。



「仕事はどう?」

美知おばさんとおじさんと向かい合って食卓を囲んでいたら、美知おばさんが口を開いた。


「10日間も休んでいたから、仕事も溜まってたけど、どうにか片付いた。」
「そう、大変だね。花梨ちゃんも。」

久しぶりに会ったおじさんは、以前より少し痩せていたけれど、私の話を頷きながら聞いて、目の前に注がれたビールを一気に飲み干した。


「繁忙期じゃなくて助かったよ」
私が苦笑いを浮かべると、美知おばさんも私と同じようにして苦笑いを浮かべた。

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