あなたに憧れて
それから1ヵ月経過。

色々と有ったけど、自分の係の仕事にも慣れ一人でも大抵の事ができるようになった。
私って仕事はできるんだと心の中で自画自賛する。

隣の席では渡辺さんが今日も叱られている。金額の間違いが多いみたいだ。
店長が、それをみかねて係を交代するようにと言った。
どちらかと言えば、定期性の方が簡単で出納の方が難しい。

店長「二宮さんは加勢さんに聞きながらして。渡辺さんは二宮さんに聞きながらして」

私は渡辺さんに定期性の仕事を教えながら、出納係の仕事に従事した。
定期性よりも業務的に楽しかった。間違いも少なくて店長にも加勢さんにも褒められながら仕事をしていた。

渡辺さんは今日も間違った入金や市税の払い込みをして、叱られて金庫の中で泣いている。
店長は渡辺さんにそっと寄り添ってはいるが口調が冷たい。
私は苦手なタイプだと思っている。そして一か月を通して接してきて嫌いだ。
たぶん、店長の方も私が嫌いだと思う。
私はそれでも構わないけど。
< 16 / 49 >

この作品をシェア

pagetop