花よ、気高く咲き誇れ




「でも、水谷君みたいな人が隆弘と友達なんて驚き。あんながさつな男と合わないでしょ?」



「隆弘は誰とでも仲良くなれるやつだからね。それこそ、男女問わず」



「私もそんなタイプ。友達になってくれる?」



 本当は友達ではなく恋人になりたいが、そんなに一気に飛びついたら獲物は逃げてしまう。


 そう、慎重に距離を詰めて逃げることが不可能な距離になったら一気に捕獲がセオリーだ。



「もちろん。蓮井さんとも気が合いそうだ」



「ハナで良いよ。みんな、そう呼ぶから」



 そう言うと、水谷君は初めて困ったような、いや、何かを押し込んだような表情を浮かべた。


 私は何か地雷を踏んだだろうか?



「どうかした?名前で呼ぶのは嫌とか?」



「……いや。違うんだ。姪が蓮井さんと同じ名前でね。だから、苗字で良いかな?」



 姪と同じ名前だと、何か呼びにくいのだろうか。


 微妙にわからないが、確かに同じ名前で呼ぶと私を呼ぶたびに姪を思い浮かべてしまうかも。


 それは、勘弁だ。



「姪がいるんだ!何歳?」



「2歳。とても可愛いんだ」



 そう言いながらも、水谷君の表情は硬い。



「何か私マズいこと聞いたかな?それなら、はっきり不愉快だって言ってくれて構わないから」



 私は人の気持ちを読み取るのが上手いほうだと思う。


 それが好きな男ならなおさら。


 姪の話が嫌なんて、家族仲が悪いのだろうか。



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