花よ、気高く咲き誇れ




 ただ、水谷君が見せる子供っぽい八つ当たり的な姿とか、何かに怯えている姿とか、極端なマイナス思考とか、余裕のなさとか、そう言った類とは無縁そうな本当の大人な男性に見える。


 水谷君のマイナス部分をなくしたような感じ?


 というか、水谷君のダメダメな部分を列挙しすぎ?


 ただ、私はそういうマイナス部分も含めて水谷葵という男が好きなのだ。


 学食で出会ったのが水谷兄だったら私は恋をしなかったと断言できるくらいに私は彼の全てを愛している。


 そんなことを頭の中で一瞬で考えていただけで、私はみんなの視線を一心に集めていることに気付いた。


 水谷君の彼女として品定めされることなんかわかっていた。


 先手必勝。


 こちらからにこやかに挨拶だ。


 今日はオシャレにも一段と気合を入れた。


 かといって、身内の集まりだ。


 そのあたりを弁えてこそ、オシャレと言える。


 社交的な私なら上手く馴染める自信はあるし、水谷母とはすでに仲良し。


 万が一、誰かに嫌味を言われても流すことぐらいできる。


 だが、意地悪なんてとんでもない。


 温かい歓迎に呆気に取られたくらいだ。


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