花よ、気高く咲き誇れ
「ね!パパがそういったもん!!」
智子さんたち、ご両親も知らなかったことらしく、場がどよめいて一斉に水谷兄に目が向けられる。
そのざわめきに水谷兄は笑顔で頷いてから、水谷君のほうをまっすぐに見つめて言った。
「夏希、妊娠してるんだ。で、仕事も来月いっぱいで辞めることになった」
爽やかな空気が微妙に変わったのを私は肌で感じた。
でも、それに気付いたのは隣に座っていた私と。
あとは、水谷君を見ていたお兄さんだけ。
他はもはや、大喜びではしゃいでいる。
「そうか。おめでとう」
「もう!あんたって子は。ハナの時と同じようにいきなりなんだから」
「葵君に今度も似て欲しいわね」
「夏希ちゃん、身体は大事にな。蒼、しっかりと支えるんだぞ」
義姉はほんわかやっぱり笑い、お兄さんはスーパーお兄さんのようにしっかりと頷いていた。
水谷家がより一層の幸せに包まれていた。
包まれていなければ、おかしかった。
みんなが笑みを称えていて。
水谷君も喜んで、私もおめでとう、って言って。
そうでなければ、おかしい。