背中合わせ、そこから一歩。



それからもしばらく愚痴が続いた後、


「でもまあ、なんだかんだいってやっぱり好きなのよね。いつまでたっても。彼しかいないって思うの。

彼が家にいて、娘がいて、私もいて、
ああ、幸せだなあって。

おじいちゃんおばあちゃんになっても手を繋いで散歩するような、そんな夫婦に私たちもなりたい…なんて恥ずかしいこと考えてるのよ。」



ふふふ、と、幸せそうに笑う彼の奥さんを見て


あ、私、この人の今の幸せを、これから先の幸せを、潰してしまうかもしれないんだって、

彼女はまだ気づいていないけれど、
私は確実に、この人の純粋で真っ白な幸せに泥を塗ってしまっているんだって、


そう思ってしまった。


昼ドラに出てくるような悪女になってしまおう、なんて思っていたけれど、私のやっていることは当然、昼ドラでしか許されないことだった。
やっていることの醜さをいざ目の当たりにすると、それは私には重すぎる罪だった。







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