魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



「ご自分の立場を分かっておいでで?」


目の前で腕を組んで分かりやすく威嚇してくる彼女に、カフェテリアの時のような謙虚さはなかった。
あの時だって、謙虚と呼んでいいかは定かではない。楓がいたから私に強く出られなかっただけだろう。

放課後の中庭。
渡り廊下を急いでいたら、昼休みに絡んできた女子生徒が、友人を連れて私の元へ現れた。
彼女たちが道を塞ぐから仕方なく相手をしてあげるけれど、本当は顔も合わせたくない。

ここだと通る人の邪魔になるから、と中庭へ促したのは私だし、人の気持ちを分からない、気遣えないところはすごく不快だ。


「私、急いでいるので、お話があるなら手短にお願いします」

「まあ。そうやってお逃げになるの?」

「人を待たせているんです」


逃げるわけない。あんたたちなんか、怖くもなんともないんだから。
ただ一つ、私がいま気にしているのは、蓮様をお待たせしてしまうのではないか、ということだった。


「じゃあ言わせてもらうわ。花城さん、あなたのせいで八色様の品格が下がるの。図々しく付きまとうのはおやめになったら?」

「楓と私は幼馴染です。昔から仲がいいだけです。それに、そんな程度で楓の品格は下がりません」

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