エリートの愛は黒すぎました。
いつもの日常が壊れた音を私は確かに聞いた

遭遇に前触れなどなく。





…ピッ…ピッ…ピッ…

ここはある病院の手術室。
オペが行われている真っ最中だ。

私、黒坂宇由(くろさか うゆ)はまがりなりにも手術室看護師であり、このオペチームの一員である、、はずなのだが…

私の隣で今まさに患者にメスを入れる医師、滝塚頼(たきつか らい)を横目に見ながら、今日の手術前に彼に言われた言葉を思い出していた。


ーー『俺は今だに完璧にできない君を見ているといらいらする。せめて僕のチームに迷惑にならないよう努めてくれ』




…はぁーーー。
何度も頭の中で反芻してしまう、この言葉、、

たしかにまだ半人前である。それもそのはず、だって私は大学を卒業し勤めだしてからまだ半年なのだ。
完璧を求めるのならば熟練者がつけばいい、と本気で思うが…
彼の口の悪さはオペナースの間では広く濃く噂が立ち、そこで新人の私にバトンタッチが来た、というわけだ。

彼の容姿はものすごい整っており、おまけに医師というエリート。この性格さえ直せばきっとーー

「おい。」
「は、はい、すみません、」

メスを渡すタイミングが遅れてしまった。。
これは後で説教確定だな、

ーそう、彼は容姿端麗なうえ頭脳明晰というハイスペックなのだ、ただし性格を除いてはのはなしだけれど……


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