マザー症候群

 美波が席に戻った。頭がさっぱり回転しない。
 「ゲスな女め」
 息子の彼女を呪いながら美波は、手だけ大雑把に机の上の整理を。
 「悪いけどお茶くれない」
 事務担当の女子社員がお茶を美波の席に置くと。
 「ぷわ~。あっちちち」
 思わず、美波が口からお茶を吐き出した。
 「こんなの熱くて飲めないわ。私に恨みでもあるの」
美波がここでもとげのある言葉を。
 女子社員はただただ謝るばかり。
 「おかんむりね」
 「部長、何かあったん」
 「今日、あの日じゃないの」
 その光景を見ていた制作部の面々は、こそこそと噂をする始末。
 それ以後も、沢部長の八つ当たりはつづく。でした。



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