マザー症候群

 波斗の反応は?
 無反応。
 (この鈍感野郎。はよ嫁にすると言わんかい)
 道瑠は波斗を少し睨みながら料理をテーブルの上に並べ始めた。
 ぶりの照り焼き、刺身の盛り合わせ、海老の黄身和え、ほうれん草のおひたし、あさりのみそ汁。
 「わあ、豪華だなあ」
 「はよ食べてみて」
 「頂きます。まずは、ぶりの照り焼きから」
 「味はどう?」
 道瑠、波斗の評価に興味津々。
 「おいしいよ。お袋のより少し味は薄めだけど。お袋のは照りが凄いんだ」
 (お袋。お袋。って、舌ばかり肥満のマザコン野郎が)
 道瑠は、母親の味を基準にして評価する波斗にカチンと来た。
 波斗と言えば、もくもくと料理に箸をつけている。
 「道瑠、料理の腕を上げたな。どれもこれもいい線いってるよ。お袋にも食べさせたいよ」
 「また、お袋。なんで?」
 「料理通のお袋がどう評価するか、楽しみだから」
 (お義母さんならどう評価するやろ。うちかて聞きたいわ)
 道瑠は、そんな事を考える自分に苦笑していた。


 
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